日本語補習教材サイト by Chieko Sakamoto
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『もしも、江戸時代が物々交換の社会(貨幣経済でなかったら)?』と仮定して下さい。身分制度で“一番偉い”とされた武士は生産手段を持たないので、食べ物を手に入れるのにも困るでしょうし、農民や漁師がわざわざ消費地(江戸)まで、徒歩で商品を届けるのでは鮮度が落ちてしまうでしょう。貨幣経済は交通網の発達とともに江戸時代の物流を支えていました。ところが18世紀になると貨幣の価値を下げる政策や役人の贈収賄(ぞうしゅうわい:贈賄と収賄。わいろを贈ることと受け取ること)といった政治の緩みがでてきます。
政治では、“緩み”と“引き締め”が交互に繰り返されるもので、享保(きょうほう)と天明(てんめい)と天保(てんぽう)という年号のときに大きな“引き締め政策”が実施されました。それぞれ年号にちなんで享保の改革,天明の改革,天保の改革と呼びます。天明と天保の改革は大飢饉(だいききん)への対応でしたが、食べ物に困った人々は、“君主の道”や“身分の上下”という教えに不満を募らせるようになりました。
オランダ語で書かれた医学書『ターヘル・アナトミア』を医者の杉田玄白と前野良沢らが日本語に翻訳し、日本の医学の発展に大きく貢献しました。杉田玄白が『ターヘル・アナトミア』と出会ったのは39歳のとき。オランダ語で書かれた本を読めなかった玄白ですが、それまで見ていた中国の医学書などとはずいぶん違うと一目でわかりました。本の内容をもっと知りたいと思った玄白は、仲間の医者たちと日本語にする作業にとりかかります。作業を始めて3年半、苦労の末に生まれたのが『解体新書』でした。『解体新書』は、日本の医学の進歩に大きな役割を果たし、人々がオランダ語で学ぶきっかけともなりました。当時オランダのことを、「阿蘭陀」と書きました。この「蘭」の文字から、オランダ語の本から学ぶことを「蘭学(らんがく)」といいました。
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