召集令状を受けて

ラバウル上陸

ココポの勤務

ラバウル患者
療養所

さらば
ラバウル

マニラ仮宿舎

ダバオ
第13陸軍病院

マライバライ
第4野戦病院

リナポに退避

ジャングル逃避行

先発隊の記録

後発隊の記録

白旗を立てて
ブツアン川を下る

武装解除
母国上陸

参考:軍の階級

9)リポナに撤退

敵上陸進撃中という情報で私たちは患者をともなってブギドノ州リポナに避難し、二〜三日、衛生材料の整備や隊貨の整理に当たっていた。しかし、敵がミンダナオ島の各地に上陸して進撃を開始すると、我軍はジャングル内に退避することになった。動ける患者には所属部隊に帰属命令が出され、米1升とモミ1升と乾パン2袋が支給された。そして、動けない患者はそのまま…、ということになった。「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずか)しめを受けるよりも…」と教育されていたので、捕虜になったときのことを考えると背筋に冷や水を浴びせられたような異様な旋律を覚えたが、軍の命令は絶対であるから服従しなければならない。

せめてものおわびのつもりで、配給された乾パンを動けない患者に残して身辺整理にかかった。マニラ滞在の1ヶ月間に『内地に帰るときのお土産に』とささやかな買い物をしていたが、全部捨てた。黒い外被(がいひ:機器のカバー)で円筒形のリュックを作り、米と飯盒(はんごう)と二〜三の着替えとセロハンで幾重にも包んだマッチ,チリ紙,タオル,石鹸などを入れ、水筒には塩をつめた。それに肌身離さぬ出征以来のお守り…、とまことに軽装になり、皆に「よく思い切ったわねぇ」とあきれられた。

ジャングルの入り口を目指しての夜間行軍(こうぐん)。不要になった軍貨(軍票)が焼かれ夜空をこがすのがあわれ。
時おり自動車で通過する部隊も見えるが、お互いの編上げ靴の響きにせきたてられるように黙々と列をなして進む。すぐ近くに敵が迫っている感じで私たちも必死に歩く。
カッカッというおびただしい靴音だけが頭いっぱいにこびりついて何も他に考える余裕などない。